今度はあなたからプロポーズして
わしらは絵を描きながら、
お互いの事もいろいろ話をした。
わしは
故郷が長野の田舎で
大自然に囲まれて育ったこと
絵の他に料理が好きなこと
今は修行中の身だが、
将来は店を持ちたいこと
が夢だと語った。
「絵描きさんになればいいのに」
と春江は暢気に言っていたが、
当時は絵描きで
飯が食える時代ではなかった。
なりたいものと
なれるものは違うと
よく言い争いをしたもんじゃ。
「才能は嘘はつかないわ」
と負けじと豪語する春江に
圧されてばかりじゃったがの。
まぁ、でもそこまで自分の絵を
褒めてもらえるのも
嬉しくも思っておったもんじゃった。