今度はあなたからプロポーズして
「えっ?? 家…出?
今晩泊めて……はあ?」
何がどうなっているのか
訳がわからず返答に困っていると、
「今晩だけでいいんですが…」
予想に反していたのか、
春江は恐々と小声で付け足して、
わしの顔色を窺っている。
黙ったまま悩んでいるわしに、
「ごめんなさい…
やはりこんな無理なお願いなど
聞き入れては
もらえないですよね?」
そう肩を落とすと
重そうなバッグを持ち上げて、
歩き出そうとしている。
春江の吐いたため息が
真っ白く澄んだ空気に広がった。
わしは慌てて春江を追うと、
トボトボと歩く先を遮った。
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