今度はあなたからプロポーズして









が、わしの心配をよそに春江は





「お邪魔しまーす」





と部屋に上がると、





「へぇ~、
 ここが天才画家さんの家なのね」





などと暢気に
部屋のあちこちを詮索している。





わしは玄関で立ったまま、呆気にとられていたが、
内心ホッと胸を撫で下ろしていた。




それが春江の気遣いだったとも
知らずに、の。








「それで、何があったんです?
 詳しく聞かせてもらえませんか
 ?」





卓袱台の周りを簡単に片付けると
早速、話をきりだした。








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