今度はあなたからプロポーズして









春江は聞こえないフリをして
奥の部屋までいこうとしたが、




正座で待つわしを見て
観念したかのように
立ったまま話し始めた。







「わたし、お見合いをして…


 あ、そこまでは
 知ってらっしゃるわよね。


 で、相手の方は
 大企業の御曹司だったみたい
 なんですけど、


 いつもお金の話ばかりで
 私にはちっともわからないし、
 つまんなかったから
 お断りしたんです。


 でも、周囲はわたしを
 どうしても嫁がせたいらしくて


 もう少しお話してみたらとか
 それが幸せなのよとか
 いろいろ言われて…


 あまりにしつこいから、



「わたしには好きな人がいます」




 って両親に言っちゃったんです









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