今度はあなたからプロポーズして
春江は目を覚ますと同時に
真横にいるわしと目が合った。
目覚めたばかりの春江は
キョトンとしていたが、
徐々に記憶が蘇ってきたのか、
「嫌だわ、恥ずかしい…」
と言って、ムクッと起き上がると
乱れた髪をサッと整えた。
遅い朝食を済ますと、
「公園に行ってみたい」
と春江は言い出した。
簡単に身仕度を整えると、
二人で公園に向かった。
どこから聞き付けたのか
外に出ると
長屋のあちこちから視線を感じる。
物珍しそうに首を伸ばす仲間達の
羨望の眼差しに
わしは少々自慢気になったが、
照れている春江と目が合うと
浮かれ過ぎている自分を戒めて
口元の緩みをキッと結び直した。
ただ
またこうして春江と歩いている
という事に
わしの心は踊らずにはいられなかった。
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