その音色はどこまでも美しく
ゼロ、と心の中で叫んだ瞬間、一気に椅子を引く。

可奈は突っ伏した格好のまま尻から地面に落下してひっくり返った。

「こらっ!何してるんだ、お前ら!?」

教師の怒声の後、教室中が笑いに包まれる。

ここまでは俺の予想通りだった。

ただ一つだけ誤算があった。

ひっくり返った勢いでスカートがめくれ、可愛らしい水玉模様の下着があらわになっていた。

俺はひっくり返ったままの可奈と目が合う。

その顔は何が起こったかわからないといった風にきょとんとしていた。

「か、可愛らしい下着だな」

精一杯の笑みを浮かべる。

だが、その一言で自分の状況を理解したのだろう。

顔が一気に紅く染まっていく。

「っ!」

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