ラブ★シックネス



…そう、あたしが力いっぱい叫んだ時。



スーツケースが、バタンと倒れる音がして。

―…あたしはギュッゥッと、颯の腕に抱きしめられていた。




『…、颯…?』




横目に見える倒れたスーツケースに、あたしと颯の間を通った隙間風。

突然の出来事に、思考が上手く回らない。



…だけど、あたし。

凄いこと、言っちゃった気がする。




「…みぃちゃんは可愛いね。」

『…、意味わからな…っ』

「自分の気持ちに全然気づいてない。」



そう嬉しそうに呟いた颯に、より一層強く抱きしめられて。

…あたしはもごもご、喋れなくなる。



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