ラブ★シックネス
虫の声がうるさい、夕方だった。
アイツがゆっくりと穏やかに、口先だけあげて微笑んで。
外見だけはいいから、バックの夕日が映えてみえる。
「…じゃあ、またね。みぃちゃん。」
―…そう言って、アイツの大きい手のひらが、サラリとあたしの髪に触れた。
ポン、って。
一瞬だけ。
少しドキッとしたけれど、慌ててその手を振り払う。
『ちょ、何触ってんのよ…!』
きしょいことしないでよ。
キュン、とか。
あたしたちの関係で、そんなロマンチックな効果音皆無だから。