あにばーさりー ばーすでい
なんで無理して笑ってんだこいつ・・


まぁ、誰がどうしようが知らないけど
俺は自分からどうした?なんて聞くような人でもない

不器用な俺は、きっとそのあとの言葉が見つからないから。


「先客いたなら、帰るわ」


ふっと笑いかけると、アキの頭を軽くぽんっとたたき、そのあとは何も言わずに音楽室を出た。


「・・・」


一人になって余計に響く、小さな空間。
それがなんだか酷くさびしいものに感じたーー



ーー次の日、
教室に入ると笑顔で友達と話すアキの姿。

なんだ、元気じゃん
昨日の泣きそうな顔はやっぱり気のせいだったのか?
なんてのんきな考えの、俺。

無表情のまま席に着くと、朝には似合わないようなでっかい声が教室に響いた。



「おっはよー!」



あぁ、うるさいのが来た。



「おはよう、トウマ」


「ちゃーす♪」



トウマはみんなからの挨拶をマシンガンのように交わすと、あたりをきょろきょろと見渡す。
そして俺を見つけると、獲物を見つけたライオンの如く、すごい勢いで駆け寄ってきた。

ーーあぁもう、逃げたい。

そうは思っても、だるくて動かない身体。
しかたなくトウマを寄り付かせると、ため息を吐いた



「おはーっす、愛しのキョウたん?」


「黙れ」



ちゅうーっと唇を前に突き出すトウマにデコピンを食らわすと、
冷たいなぁキョウたんは♪と言いながら、ドカッと席に着いた。


ーー朝くらい静かにしろ、まったく。


とか言いつつ・・
なんだかんだこの生活を楽しむ俺がいるんだよな



「おはよう、キョウ・・・」



ーー突然聞こえてきた、女の声。



「ん?アキか、はよ」



その声がアキのものだとわかると、俺は軽く挨拶を交わした。

昨日のことが気になるのだろうか
アキはそのあと、何か言いたげにしていたが
顔を見ても特に何も言わなかったので、特に俺も何も言おうとはしなかった。

しばらく、アキは軽く困ったように笑い自分の席へと戻って行った

それを背中で感じとり、俺は立ち上がって教室を出た。




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