愛LOVE…
「加奈!」

――ほぉら、おいでなすった。

「おい直哉」

「あ?加村?」

ドカッ!!!

――え、加村君……何で?

一瞬、何が起きたのかわからなかった。

あたしの席の隣で、あたしの目の前で、鈍い音と共に直哉が床に倒れた。

その音が、加村君が直哉の頬を殴った音だと気づくまで、そう時間はかからなかった。

「……ってぇ。加村、何しやがんだよ!」

直哉は床に座って、殴られた左頬に両手を当てながら怒鳴った。

教室内が静まりかえって、みんなが直哉と加村君に注目している。

「昨日おまえに相談した事取り消すわ」

憮然とした態度で直哉を見る加村君の瞳からは、物凄い怒りが感じ取れた。

いつも優しくて怒ったところなど今まで見た事もないのに。

「おい加村、いったい何なんだよ」

「自分の胸に手を当てて考えるんだな。おまえがしでかした過ちを」
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