愛LOVE…
新しい女の子が直哉に近づく度に言っていたものだから、単純な直哉はそれを真に受けて段々自分はブサイクなのだと思い込み始めたのだ。

その洗脳のおかげで、これまで何度と女の子に告白されてきた直哉だが、次々にそれを断ってきた。

「同情で付き合ってもらうなんて勘弁だ」

とか言ってる。

冷静に考えたら、そんなわけないのにね。

まぁ、そんなわけであたしにはとても都合よく回ってくれているわけなのだが……。

「まぁまぁ、直哉だって性格はいいんだし、顔だって見られない程ってわけじゃないじゃん」

少し大袈裟すぎる直哉の妄想に、あたしは横からフォローを入れた。

「そんな慰めはいらん。俺は自分がどんだけブサイクか分かってるんだ。加奈は小さい頃から俺を見てるから、このブサイクにも免疫がついてるだけなんだよ」

自分で言うのもなんだけど、あたしの昔からの作戦は本当に怖いくらいの成功をもたらしていた。
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