愛LOVE…
「本当イイ奴なんだよ。でも、俺昨日あいつに言ったんだ。もっと綾峰さんを大切にしろって。もし泣かせるような事があったら容赦なくおまえから彼女をとるって」

教室はまだ残っている生徒の話し声などでざわめいているし、彼らは自分達の事に夢中で、あたし達がこんなやり取りをしているなんてまるで気づいていない様子。

「俺じゃ……ダメ?」

そんな真剣な加村君を直視できないあたしは、段々胸が苦しくなった。

直哉の事は、いつから好きだと実感したのかは覚えていない。

でも、生まれた時から一緒にいて、物心ついた頃にはもうすでに恋愛の意味での『好き』が芽生えていたと思う。

だから

「ごめん加村君。あたし、傷つけられても泣かされても、やっぱり直哉が好きなんだよね」

そう言ってあたしは唇を噛んだ。

ずっと片想いで、この先振り向いてもらえなくてもあたしは直哉を思い続けるだろう。
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