愛LOVE…

早く、早く……

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一刻も早く直哉に話をつけなきゃと思うと、自然と駆け足になっていた。

家から学校までは徒歩で約十五分かかるのだが、運動がちょっと苦手なあたしでも、走れば半分くらいの時間で済む。

息を切らしながらも、走らずにはいられなかった。

いつもは心地よい、初夏を知らせる5月の暖かい風が、今だけはウザったかった。


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思ったより早く直哉の家に着いた時、ドアの前で一瞬躊躇してしまった。

言いたい事は沢山あるが、どこから話したらいいの、どう話せば伝わるのかわからなかった。

そして一番の理由は、今あたしが何か言ったところで直哉は素直に聞いてくれるだろうかという事。

疲れと緊張で額に汗がにじむ。
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