愛LOVE…
意を決して相原家のドアを開けると、玄関には直哉のスニーカーだけが不揃いに並んでいた。

おじさんだけじゃなく、今日はおばさんもいないらしい。

直哉の名前を呼ぶが返事はなく、あたしは勝手に上がらせてもらった。

あたし達は昔から、お互いが部屋にいるとわかっていれば、いつもこんなふうに勝手に上がり込んでいた。

そして階段を上ってすぐの所にある直哉の部屋のドアをノックした。

｢ねぇ直哉、開けて｣

けれど返事はない。

確かに部屋に直哉がいる気配はするのに、あたしの呼びかけに返事もしないで、まさか居留守を使うつもりだろうか。

｢直哉ってば!｣

さっきより大きい声でもう一度呼んでみる。

……が、やはり返事はない。

何か物音は聞こえているのに。

段々腹が立ってきたあたしは、勢い良くそのドアを開けてしまった。

もちろん、ドアに鍵などはついていない。
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