愛LOVE…
段々と直哉の喋り方が荒くなっていた。

いつもヘラヘラしてる彼からは想像もつかないような、珍しい姿だが、ちょっと怖い気もした。

「だいたい、そうなる原因を作ったのは直哉じゃん」

「だから何の事だよ!朝から聞いても教えてくれないし。あーあ、俺っておまえらが思ってるよりバカだからさ、頭いい奴が考えてる事なんていちいち教えてもらわなきゃわっかんねぇし」

パンッ!!


半ば投げやりに言った言葉とその態度に、気づくとあたしは直哉の頬をピシャリと平手打ちしていた。

もちろんこんな事したのは生まれて初めてだ。

直哉は左の頬をさすりながらふてくされていたが、正直あたしの右手も痛かったりする。

「……ごめん。でも、そんな言い方しないで」

頭がいいとか悪いとか、冗談で話す事は今までだって何度もあったけれど、本気でそんな事を言われ、カチンときてしまったのだ。

誰だって愛しい人が、自分で自分をさげすむ姿なんて見たくない。
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