愛LOVE…

素直じゃない

「で、加村君何だって?」

あたしはさすがに直哉が哀れに思えて、話題を変える事にした。

だけど直哉はあたしのその質問に対し、プイッと顔を反らした。

「それは企業秘密だ」

――何の企業だよ。

そういう態度をとられると、なんとなくムッとなってしまう。

「なんでよ。別にいいじゃん。加村君て直哉と違って綺麗な顔してるし大人びてるし、どんな子が好きなのか気になるじゃん。なんなら協力したげるし」

「……加奈、おまえあーゆうのが好みなワケ?」

あたしが唇を尖らせて文句を言うと、直哉は突然足を止めて眉間にシワを寄せてそう言った。

――ちょっと、何よ何よ。
何でそうなんのよ。
あたしが加村君の事好きなわけないじゃん!!あたしが好きなのはあんたなんだから。

その整った顔に見つめられてドキッとしながらも、心の中では大声でそう叫んでいた。

これが実際口に出せたらどんなに楽だろうか。
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