愛LOVE…
「だから、つまりは俺達両想いって事だろ」

座った状態で抱きしめられて、直哉の声が耳元で聞こえる。

耳に吐息がかかってドキドキした。

「本当に……?」

こんな状況でなお、まだ信じられない自分がいる。

「好きじゃなきゃ、わざわざ加奈と同じ高校入る為にレベル上げてまで努力するかよ。それに、いくら幼なじみだって高校生になってまで一緒に登下校なんてしないぜ、普通」

あたしに言い聞かせるように、ゆっくりと優しい口調。

――直哉ってこんなに大人だっけ?

ずっと、直哉は単純でお調子者のお子様だと思っていたのに、こんな一面も持ち合わせていた事に驚いた。

何だか、初めて直哉に男の子の包容力を感じた。
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