社長の溺愛
その声は
綺麗な声は
俺の好きな声だった
「翼…!」
その声のする方へ無我夢中で走り出す
悲鳴にも似た声、否…悲鳴だろう
翼、翼、翼…!!!
あいつ…絶対に許さねぇ…
俺は
走って、走って
一つの扉の前で荒れた息を整えた
無駄に広い別荘を駆け巡ってたどり着いた場所
扉の向こうからは悲痛な叫び声が聞こえ………なくなった
翼…?
ガンッ!
中には翼と宮下吉雄がいるはずだがそんなことは気にしちゃいられない
翼が危ないかもしれない…!
「誰だ!」
扉を隔てて聞こえた声はあの汚い男の声
鍵がかかっている扉はどうあがいても開かない
こうなったら…