社長の溺愛
慎って初めて呼ばれたことに何故だかとても安堵した
任せていいんだ
本当にそう思える
秋也からベッドに視線を移すと手を拘束されて動けない翼がいて、入ってきた組員に毛布を掛けられている
俺の意識は一気に翼へ集中した
駆け寄って毛布ごと抱き締める
「しぃ…慎…慎…」
掠れた声で頬には乾ききった涙の跡
ガチャン…
翼の頭上から聞こえた音に顔を上げれば手錠は取れていて、赤く擦れたような跡がある手首があった
「早く外に連れていけ」
脇から聞こえた秋也の声に頷いて、毛布にくるまった翼を抱き上げた
彼女は顔を隠すように俺の胸に埋めた
震えている細い指はスーツを掴んでいる
チラッと後ろを見ると秋也と数人の組員たちが宮下吉雄と対峙していて、部屋をでるとたくさんのひとと倒れたSPがいた
そして使えないはずの警察もいて、俺と翼に気づいたのか1人の警官が近づいてきた