社長の溺愛
泣きつかれた翼は睫毛を濡らしながら静かに眠りについた
車内はしんと静まり返っていて、翼の寝息だけが響いてる
「慎、今日は休めよ」
「あぁ、そのつもりだ」
こんな状態で翼を1人にできるわけがない
それに…
「秋也、ずっと聞きたかったんだが…」
「…なんだ」
「なんでいきなり突撃してきたんだ…?」
そう、たしかに援護に回ってくれるとは聞いていたが、突撃は翼がいるからとやらないはずだった
だけど…騒音とともに来た秋也、突撃以外になにがある
「……悪ぃな」
「…………」
いやいや、悪ぃじゃなくて、突撃しないって言ったよな…
秋也は窓の外に視線を写していたが、急に翼を見つめた
「なぁ…」
相変わらずの低い声だが翼を見つめるその表情はなんだか優しい
「なんだ…?翼が…どうかしたのか?」
『なぁ』と声をかけたくせに何も言わない秋也に逆に問いかける