社長の溺愛
一睡も出来ずに朝を迎えた。
妙に重い身体を動かしながらシャワーを浴びる。
熱いシャワーでスッキリさせ、怒りを静めるように頭から水をかぶった。
髪を乾かしても、スーツを来ても『松谷翼』が脳裏を掠める。
深いため息をついてマンションを後にした。
「で、どうすんだよ?」
社長室に入るなり問いただす幸弘。
「なんで調べさせたのかは、まぁだいたい察しがつく」
さすがエスパーは各が違う。
「問題はこれからだ。お前はどうする気だ」
今の幸弘はいつになく真剣な顔つきをしている。
だから俺も真剣に答える
そして慎重に答えを出す
「成瀬コーポレーションにアポを入れといてくれ」
低く、重い声が部屋に響く。
「まさかとは思ってたけど、やんのか?」
ソファーに座り、携帯を取り出す幸弘
「ああ、いくらかけてもいい」
「ふ、わかった。後のことは任せとけ」
踵を返した幸弘は携帯に話しかける。
まったく、準備の早い秘書だ。
さて、俺は仕事をさっさと片付けなければ
凝った首を回しながらパソコンに向かった。