社長の溺愛



一睡も出来ずに朝を迎えた。


妙に重い身体を動かしながらシャワーを浴びる。


熱いシャワーでスッキリさせ、怒りを静めるように頭から水をかぶった。


髪を乾かしても、スーツを来ても『松谷翼』が脳裏を掠める。

深いため息をついてマンションを後にした。










「で、どうすんだよ?」


社長室に入るなり問いただす幸弘。


「なんで調べさせたのかは、まぁだいたい察しがつく」



さすがエスパーは各が違う。


「問題はこれからだ。お前はどうする気だ」


今の幸弘はいつになく真剣な顔つきをしている。



だから俺も真剣に答える



そして慎重に答えを出す



「成瀬コーポレーションにアポを入れといてくれ」



低く、重い声が部屋に響く。



「まさかとは思ってたけど、やんのか?」


ソファーに座り、携帯を取り出す幸弘




「ああ、いくらかけてもいい」




「ふ、わかった。後のことは任せとけ」




踵を返した幸弘は携帯に話しかける。


まったく、準備の早い秘書だ。


さて、俺は仕事をさっさと片付けなければ


凝った首を回しながらパソコンに向かった。








< 13 / 413 >

この作品をシェア

pagetop