社長の溺愛



それからしばらく抱き締め続け、翼を堪能しまくった俺はやっとキッチンに立った


されるがままだった翼はしばしきょとんとしていたが心なしか嬉しそうだった


俺はというと、何度も何度も翼を見つめていたせいでウインナーを焦がしそうになったりと、なんともベタな反応を披露した



「ひとってたくさん?」


二人で会社に向かう途中、信号で止まったときに隣から質問の声がした


ちょっと言葉が足りない質問に付けたしながら答えを探す

「ひとって会社にいるひとのことか?」


「違う…描くひと」


描くひと…?


「デザイン課のことか?」


「ん…たぶんそのひとたち」



綺麗にカールした睫毛を微かに揺らしながら『早く、早く』と答えを待っている姿はもうなんとも言えないほど…


あまりに可愛いから数秒ほどの沈黙が出来てしまう


途端、不安になり始めたのか自分の胸元をギュッと握る翼


俺は慌てて口を開く


「たくさんいるよ、でもいいひとばっかりだから」


「…………」


「チーム長の亘なんかは話しやすいぞ?」


「……男のひと…?」


「あぁ、男だよ…?」




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