社長の溺愛



可愛い翼を目の前に必死にいつものごとく薄い理性を引き延ばす



上目遣いは危険だから…膝を曲げて目線の高さを合わせる


「翼、なにも怖いことないから、な?」


「…………」


「大丈夫だから」


不安気に目を伏せる仔猫は「……ん」と小さく返事をするとギュッと自分で自分の腕を抱いた


俺に抱き締めてって言えばいいだけなのに…


言葉の表現はまだまだ苦手だ



ちょうどその時にエレベーターが最上階を知らせる


俯く彼女の手をとって足早に社長室に入った


ここならもう…


未だに大理石を見つめるように下を向く翼


その彼女にそっと触れ、頭を撫でながら抱き締めた


幾度となくやってきたこの行為だが、翼はいつまで経っても慣れないよう

その代わりに、前ならされるがままだった反応が翼から身体を寄せるようになった




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