社長の溺愛



翼を抱き締めることによって俺の疲労感は跡形もなく消え去っていく



「お仕事終わる?疲れた?」



コテン、と首をひねりわざわざ俺の心配をしてくれる優しい彼女



その返事にとびきり優しい声で返す



「あぁ、もう終わりだよ」



嬉しそうに頬を緩ませ、仔猫のようにぴったりと身体を寄せる



俺もずいぶんなつかれたもんだなぁ~…、なんて悠長に考える時間などなく…


せっかく密着してきてくれたのに彼女を離さなければいけない


名残惜しくも温もりを遠ざける


「翼、もう出るから準備しな?」



「うん……?」




翼はまたも首を傾げながら、俺の空気を察したのか「帰る準備…」と粒やいてカバンを取りに行く





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