社長の溺愛



「どこにいくの…?」



信号で停止しているのをしっかりと確認した翼が瞳を不安気に染める



不安になんてならなくていいのに…


少しずつでいいからその不安を取り除けたらと綺麗な髪に手を延ばす



「んー…怖くない所だから」


「怖くない…?」


「あぁ、俺もいるから」


「慎も…近くに?」


「あぁ、一番近くにいるよ」




だいたい俺以上に翼に近づくなんてただの命知らずくらいだろう



髪の毛一本だって触れさせない自信だってある




「じゃあ、わくわくする」



………?


まぁいいか、翼がわくわくしてくれるらしいなら…




「そうだな、わくわくしてろ」



信号が青に変わり小さい頭をポンポンと撫でて再びハンドルを握る



安全運転も手慣れてきたな





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