社長の溺愛
笑顔は崩さずに
「本日は成瀬コーポレーションを潰しに来させて頂きました」
特別明るい声をだして、そういい放った
成瀬は意味がわからないといった表情をしている
「い、今なんておっしゃいました…?」
聞き間違いだとでも?
一つため息をついて
「潰しに来たんだよ、お前の会社」
今度はひどくドスの効いた声を出した
笑顔は保ちながら「わかりました?」
「…………」
口を開けてフリーズする成瀬
まぁいいさ、意味なんてわからなくても。潰すんだから
「幸弘、資料をお見せしろ」
時間を無駄にすると判断した俺は幸弘に指示をだし、これまた趣味の悪いギラギラした机に、数十枚の資料を並べさせた
資料には成瀬の経営状況と取引先、それにここ最近の不正取引をまとめたものがある
「成瀬社長はずいぶんと汚い手を使ってらっしゃるんですね」
さっきとは違った唖然とした表情をする成瀬
「ここ最近の経営状況はずいぶん落ち着いてきてますね」
「…そ…それは…」
「裏金で経営を保ってたんでしょう」
「…ちが…っ…!」
「違う?なら法的に解決しましょうか?」
「…いや…それは…」
悔しそうに顔を歪ませ、必死に言い訳を捻り出す成瀬
逆によくここまで生き残れたものだな