社長の溺愛
うさぎの足が引きずられていることには気づいてないようだ
リビングに行くとジーンズにシャツというなんともラフな格好の秋也がいる
「なんだ…その人形は…」
彼女の抱くピンクのうさぎを見るなり顔をしかめる秋也
「うさぎ…だめ?」
「………いや」
可愛い翼とうさぎに首を捻られれば何人たりとも“だめ”なんて言えない
それは泣く子も黙る秋也も同じみたいだな
「慎、もう準備はできたのか」
翼と話すとまともな会話を望めないと理解したのか俺に話をふってくる
「あぁ、荷物はこのカバンとうさぎだってよ」
「じゃあもういいのか?」
「たぶんな、制服も入れただろ」
翼に問いかけると「うん」と可愛らしい声で返事をする
「じゃあ行くぞ」
確認を終えた秋也は立つと足早に玄関に向かっていく