社長の溺愛
今日も書類に目を通す
どれもこれもパッとしないものばかり
今のところwingの経営状況は右肩上がりだか、いつ何が起こってもおかしくないのがこの業界
油断大敵だ
コンコンッ…ー
無駄に広い社長室にノックの音が響く
来たか…
「どうぞ」
そっけなく許可を下すとドアを乱暴に開けて、ズカズカと歩いてくる男が現れる
「お前さ、あの藤崎ちゃんどうにかなんね~?」
「俺的にはタイプなんだよな~」と、ビシッと決めたスーツに似合わない口調の男
俺の専属秘書だったりする
ちなみに藤崎は秘書課の新人で、遅刻した男の代わりにきただけ
「残念だったな幸弘、藤崎はデザイン課の薄井とできてるらしいぞ」
飯塚幸弘〔いいずかゆきひろ〕は俺の高校の同級生
女遊びは激しいが仕事はこなすし、なにより気を使わなくてもいいやつだ
「まじかよ、薄井に負けたのかよ俺~」
ソファーに座りながら長い足を組む幸弘は、男の俺からみてもいい男だと思う
その証拠にごくたまにだがWingのピンチヒッターとしてモデルを任せることもある
「んじゃ…矢田ちゃんかな~」
女遊びが治ればきっとそれ以上なんだろうけど