社長の溺愛



感情表現が多くなったことはとても喜ばしいことだが
こんなに泣かれてはどうすればいいのかと困ってしまう



秋也は気を利かせたのか先に優羽ちゃんを車に乗り込ませていて


俺たちの『挨拶』が終わるのをドアに寄りかかりながらじっと待っていてくれている



翼には一向に泣き止む気配がなく、がっしりと俺に抱きついている


そういいながら抱きしめている俺も俺だが……



いい加減このままでは秋也たちに迷惑になってしまう



「翼…そろそろバイバイだから」



「うん…っ…バイバイしなきゃ」



そっと下ろすと頬には涙の跡があり、睫毛も濡れている


それをそっと撫でてやると嬉しそうに口許を緩める



今はまだちゃんとした恋人じゃないから―――……



そんな言い訳で自分に理性のストッパーをかけつつも、このままじゃちゃんと行かせることができないと思う



だから今の自分の精一杯の愛の伝え方として





濡れた目尻にそっと…







唇を寄せた―――……






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