社長の溺愛




ゴゴゴゴォォオ……―――



「やっと帰れんのかぁ~」



ぐったりと疲れきった幸弘の声が聞こえる




現在、俺たちがいるのは日本行きの飛行機の中



待ちに待った帰国だ



席はだだっ広いファーストクラス




「翼ちゃん大丈夫かなぁ~?」


腕時計や手帳をみながら呟くのはもちろん幸弘しかいない


ぐっと眉間に皺を寄せ、何やら考えてる模様…



まぁ考えてることは翼のことだろうな



搭乗前、携帯に入った一件の着信


相手は悩んだ様子の幸弘



《翼が熱を出した……》



身体が強くない翼には細心の注意を払って生活させていたが、思わぬところでボロが出た



まさか自分がいないときに風邪を引かせてしまうとは…



健康的な食事をとらせ、夜だって冷やさないように冷房を調整させたり


女性の日だって確認するくらいだ



長いレンタル生活で免疫力など無いに等しい


外出なんてほとんどしなかったのだから風邪のひきようがないんだ




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