社長の溺愛



最終手段を使われた幸弘が深く、長いため息を吐いて項垂れる



「……わかった、わかりましたよ朝倉さん」



諦めを露にどかっと座る




「その代わり溜まる仕事は俺やらねぇーからな!」



「あぁ、存分に休め」




休めるのに喜ばないやつなんていんのかよ…こいつくらいだろうな




「はぁ~」と見事に予定を崩された秘書が一気にプライベートモードに落ちる




そろそろだな…


そう思ったとき、無機質な機械を通したキャビンアテンダントのアナウンスが流れた



………やっとか…



やっと迎えに行ける



窓ガラス越しに下を覗くと、べやけて街並みが見える




自然と口角が上がっていたのには…




気づかなかった




幸弘はポツリと「慎も変わったな…」と嬉しそうに呟いていたなんてことも、



もちろん知らない






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