社長の溺愛
熱があるはず…
いや今現在あるんだろう、額に貼られた冷却シートがそれを示している
隣には優羽ちゃんが心配そうに翼の様子をうかがってる
傍らにはそんな二人をじっと見守っている秋也がいる
声をだした張本人は遠くからでもわかるほど可愛い
あぁ…翼だ…
おぼつかない足取りでこちらに歩いてくる
ふらふらしているような気もする
そんな彼女にはっとして、俺は弾かれたように走り出した
「…っ……翼っ…!」
軽い衝撃とともに香った甘い匂い
2週間忘れることなどなかった温もり
腕にすっぽりと収まる感触
涙目の彼女を久しぶりに抱き上げた
「ただいま…翼…」