社長の溺愛
いくら大丈夫でも、まだ全快なわけではない
「今日は座ってろよ?」
「はぁい……幸弘くんとお話してる……」
「ん、いい子いい子」
立ちっぱなしだった俺たちは自分たちの定位置に腰を下ろす
―――――……
いつもなら翼は企画部や秘書課、デザイン課などにふらふらと行き
社長室では黙々とデザインを考えている
それが出来ない今日は幸弘や、秘書課の知り合いと何やらパズルを始めている
誰がそんなものを会社に持ってきたのか…
多少、気になるところもあるが、まぁ彼女が楽しんでいるのならいいだろう
カタカタ……
パラパラ……
キーを叩く音や書類を捲る音
「幸弘くん、これ……?」
「それはねぇー…」
「ちょ、飯塚さん!適当にはめたら…!」
社長室も賑やかになったものだ
土曜日の昼時間近にそんなことで笑みがこぼれた