社長の溺愛
「翼、帰るぞ…?」
ガラス張りの社長室からは、既に藍色の空とそれに映える月が見えていた
今日はもう帰ろうと、ソファーの上の彼女に声をかけたが、またしても無反応
「つーばーさ?聞いてるかー?」
耳元で囁くと
「んんっ…ー」
と俯いてた顔を上げる
なんだ、寝てたのか…
そりゃ、ただ座ってるだけだもんな。暇すぎたか
多少の罪悪感を覚え、まだ目覚めてない彼女を寝かせてあげることにした
そっと横抱きをすると驚くほど軽く、一瞬落としてしまいそうになる
俺はそのまま彼女を抱き上げて、既に誰もいない会社を後にした
残業してるやつくらいいろよ…
ついでに軽い本音もフロアに響いてた