社長の溺愛

甘やかす時期なんですよ




次の日、久しぶりに気分よく朝を迎えた


隣には猫のように丸まった翼がいて、俺は細い首と腰に腕をまわして抱き寄せていた


翼を一目見たときには『綺麗』だと感じたが

澄んだ声、小さくなる仕草、猫のような姿

その全てが可愛く思える


まだ肌寒い季節だからか、翼は寝惚けながらすりよってくる


少なくとも警戒心は解けたのか…?


一つ一つの仕草が愛しく思える

細く長い自然色の茶髪を掬っては落とす


この肌触りはクセになりそうだ



「んんーっ………」


髪が顔にかかってくすぐったかったのか、軽くみじろきをしてうっすらと目を開けた


長い睫毛を揺らしながらしっかりと俺を見つめてる


「おはよう、翼」


顔にかかってる髪を掬ってあげ、朝の挨拶をすませる


「……おはよう、慎…」


素直に返ってきた返事に嬉しさを表すように笑顔を作ると、翼はゆっくりと瞬きをして


「あたし、学校に行ってもいい?」


とまるで許可を得るように呟いた


俺は意味がわからずに思ったことを口にした


「翼が行きたいなら行けばいい、行きたくないなら行かなくていい。
俺は翼が生きたいように生きて、俺の側で笑っていてくれればそれだけでいい」



まぁ、笑顔はまだ見たことないが








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