社長の溺愛
まったく…油断も隙もない
危うく中に入りそうだったよ…っじゃなくて!
さっさと会計を済まして外へ出れば自然と繋がれる二人の手
ここまでは歩いてきたため、始めて恋人らしいことをしていると思う
きっと他人からみたら仲の良いカップルに見えるだろうな
翼は行きと同様、キラキラとした瞳で外の世界を楽しんでいる
「ねぇねぇ、あのお店は何個もあるの?」
コンビニを指差しながらさも不思議そうに訪ねる彼女
「そうだよ、何千個もあるんじゃないかな?」
「すごーくいいお店なんだね」
「………そうだな」
今時コンビニを知らない女子高生なんて翼くらいだろう…
今までに一度しか入ったことがないからな
以前シャーペンの芯を買いに行った時…
その時のことを思い出すと思わず笑いが込み上げてくる
まったく物欲のない翼にあの幸弘が困っていたんだからな