社長の溺愛



俺の声に気がついたのか、控えめ気味に顔だけ覗かせた彼女



一気に心臓を鷲掴みにでもされたように鼓動が弾ける



「…慎………」



俺の姿を確認したのは愛しい仔猫



やっと会えた…



さっきの幸弘のように両手を広げれば、嬉しそうに駆けてくる彼女



「翼…」


微かな衝動と甘い匂いに今までの疲れなんか微塵も感じない



「会いたかった…」


「……うん、あたしも」



すっぽりと俺の腕の中に入った翼は、すりすりと猫のように身を軽く捩る



「おい慎っ、お前プレゼントはいらないって言ったろーがぁ!」



プレゼントって翼のことだったのか…


1週間ぶりの再会に嬉しさが大きすぎて幸弘の存在を忘れかけていた




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