社長の溺愛
翼は訳がわからないという顔をしていたが、どういう反応をすればいいのかわからないようだ
初めて触れた『自由』に戸惑いを隠せないんだ
瞳を不安定に揺らし、俺の反応を伺っている
だから俺は、カーテンの隙間から漏れた朝日に包まれてる仔猫の手を優しくとり、「朝ごはん、食べようか」と笑顔を向けた
立ち上がって寝室を出るとき、彼女は俺の手を弱い力で一生懸命、握り返してくれた
そのことに驚いて翼の顔を見ると、酷く困惑した表情をしていて思わず笑みが零れた
俺はこの仔猫に無償の愛を与えてあげよう
愛されることの幸せ、愛することの幸せを教えてあげよう
いつか笑顔を向けてもらえるように…ーーー