社長の溺愛



それから俺の仕事は馬鹿みたいにはかどり


30分ほどの時間がたったころにはいつもの倍以上の量をこなしていた


つくづく単純だと思う



コンコン……



暖かい雰囲気に突然割り込んできたようなノック音


幸弘か?


そう思って無視しようとすると再び聞こえる


コンコン……



社長室に来る人物は限られている


特に翼がいるときにはなるべく来ないようにさせてる


なにか緊急なんだろうか…?



「入れ……」


とりあえずノック音を止ますために言うと、コツコツというヒールの叩く音が聞こえる


さっきも聞いた彩加の足音



「社長、いるなら返事してくださいよぉ」



「悪い、気がつかなくてな」



彩加は納得しない顔つきでいるが、俺としてはせっかくの二人の時間を壊されて少し苛立っている



そんなことは一切気にしない彩加はふと満面の笑みを作ると


「そんなことより、とりあえず今から会議ですから」


と資料を俺に手渡した



「今からか?だいたい……なんで飯塚じゃないんだ」




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