社長の溺愛
今からなんて翼はまだ30分しかいないじゃないか!
と思いつつ、いきなり秘書の仕事をし始めた彩加に聞く
「あら、知りませんでした?飯塚さんは社長の変わりに店舗確認にお出になられました」
そういえば頼んどいたような…仕事量を把握しきれてない自分に呆れてしまう…
でも、そうなら別の秘書が来ればいい
なぜ彩加が来るんだ…
「どうして矢島さんが?」
率直に問うと濃いめのメイクが動く
「ついでみたいなものです。手が空いていたので」
笑顔で「さぁ、会議室に」と付け足す
仕方ないか……
「ごめん翼、今から会議だ…多分長くかかるから帰るときはフロントに行けよ?」
相変わらずソファーに座ったままこちらを気にするように見ていた翼にそう言えば
「はい」
となんとも他人行儀な返事が返ってきた
拗ねてんのか…?
「社長、早く行きましょう?」