社長の溺愛



何にしてもこうなった理由がわからないのだから仕方ない


自分から話そうとするまでは待つしかないらしい……



とにかく今は黙り込んだ彼女を抱き締めようか



腕に力を込めれば頬に柔らかい髪が掠めて心地いい感触がする

ポンポンとリズムを刻みながら頭を撫でると小さく俺を呼ぶ声


「慎………」


「ん…?」


「…………傍に……いて…」


「あぁ…いるよ…」




短い言葉のなかにどれだけ多くの想いと、繊細な我が儘が含まれていたなんて、



そんなことは



知らない………




「慎……」


「ん…?」


「…………大好き」



そんなこと、



知らない………――――




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