社長の溺愛
それから数日したある日、相変わらず翼は何も言わないし、話を聞ける時間もない
翼が来てもすぐに会議やら偵察やら…仕組まれたようにすれ違いの日々を送っている
いつまでもこんな状態を続けてはいけない…
そう思っても仕事がある
大人が嫌になるな…
そんな毎日だったからいい加減に疲労も溜まり、イライラしてたのかもしれない………
コンコン……
「入れ」
ぶっきらぼうに言えばなんだか無遠慮にドアが開かれる
入ってきたのはこちらも疲れた顔の幸弘
「今日は矢島いねぇーんだな」
まるで不倫してる旦那に嫌みを言うように呟いた幸弘
「何か用か?」
彩加がいるのはほぼ当たり前のようになっているのであえて無視をする
幸弘は『はぁー……』と長いような短いようなため息を吐く
「翼ちゃんが熱をだした」
あっさりと空気に乗せられた言葉がゆっくりと俺に届く