社長の溺愛



気怠さの抜けきらないまぶたをゆっくりと持ち上げる


どうやらあのまま意識を失ったらしく、見慣れたベッドの上にいた


ベッドには先ほどまでいたであろう、甘い香りが残っている



覚醒しきってない頭で、なぜ俺はここにいるのか、なんてことを考える


ガチャ…


そこにタイミングよく入ってきたのはネクタイを緩めて、ワイシャツ姿の幸弘


かけていたらしい眼鏡を片手に部屋に入ってきた


「起きたのか……」


「あぁ」


ペットボトルのミネラルウォーターを俺に投げると顎でそれをさす


「飲め」


命令形だけども柔らかい声は幸弘の表情に似ている気がした


今の幸弘はとても追い詰められているようだ


どうしたのか…


気になりつつも投げられたミネラルウォーターで渇いた喉を潤した



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