社長の溺愛
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―――…
それは慎たちが部屋を出て数時間した頃だった
ガチャ…
「翼ちゃ……」
慎が会社に行った後、近くに幸弘がいたからなのか、それとも彼女特有の癖なのか
声を殺して涙をながし続けた翼
幸弘が気づいたときには泣きつかれて寝ていた
寝ていても涙を流していた彼女の白い頬には痛々しいほどに涙の痕がのこっている
翼を起こさないようにと、幸弘は軽く忍び足でベッドに近づいた
未だ苦しさはのこるようだが熱は落ち着いてきたようで、ゆっくりと寝息をたてるその表情から伺える
(心配ないかな…)
翼はあまり外にでないので、まともに買い物をしてない
そのため幸弘が代わりに買ってくるのだが、急な熱だったため冷蔵庫にはなにも入っていない
すぐ近くに大型スーパーがあるので行ってこようと翼を見に来たのだ
随分深く寝入っているようだったので心配はないと家を出た