社長の溺愛
社員室に入るなり、自分の定位置と言わんばかりにソファーに座った幸弘
昨日の翼を思い浮かべてたら、思わず頬が緩んでしまった
それを見た幸弘は一瞬驚いたかと思うと、「キモいよ慎…」とわざとらしく気持ち悪そうな顔をした
なんとも失礼なやつだ
「黙れ…タラシが」
俺は捨て台詞を吐いて、社長専用の白いレジャーに腰かけた
「仔猫ちゃんはどうだった~?」
さっきから聞きたそうにしていた話題を口にしながら、ソファーに寝ている秘書一匹
俺は書類に目を通しながら
「仔猫ちゃんなら学校に行った」
と軽くあしらう
「違う違う、どうゆう感じだったかって聞いてんの~」
どうゆう感じってもなぁ…
俺は手を止めて翼昨日の翼を考える
「可愛いよ、選択肢を貰えたことに戸惑ってたけど」
幸弘は怪訝そうな顔をして「選択肢?」と首を捻ってる
「ああ、わざわざ学校に行っていいかって聞かれたよ」
何かを察したのか、少し押し黙り「なついてくれそうか?」と少し不安気に俺をみた
「まだ分かんねぇけど、なんとかなんだろ?」
そう、今は焦ってはいけない
ゆっくり時間を刻んでゆけばいいんだ
幸弘はふっと微笑むと「そうだな」と再びソファーに背中を預けた