社長の溺愛
キッチンは唯一俺たち二人が共同して作業を出来る場所だった
歳だって違うし、職業だってまるで違う俺たちは共通点がなかったのだ
それを覆した唯一が、料理だったんだ
分担して一つの料理をつくっていく、上手くできたらのなら微笑みあって
失敗してしまったのなら『また次に』と幸せな約束をする
そんな大切なものがつまった場所なのだ、キッチンというのは
そんな大事な所に
今、手中におさまっている携帯電話が置かれていたのだ
もう、終わり。
そういった意味なんだろうか
彼女は今、何処にいるんだろうか
見つけることができるのなら追いかけて、追いかけて、意味を問うのに……
「なぁ…幸弘」
「ん……」
追いかけなくちゃいけない
見つけなくてはいけないのだ
キスして、謝って、抱き締めて
「そろそろ話せよ…隠してること、全部だ」