社長の溺愛

秘密と愛と君と。




もうすぐ7月が終わる


学生は夏休み真っ只中である


普通の会社員もそれぞれ夏休みに入るであろう


学生でも普通の会社員でもない俺は夏休みなんておろか、ただの休暇をとるだけでも困難だ


だがしかし、状況がかわれば人間なんとかなるものだ


ゴゴゴゴォ……


妙に頭に響く騒音を背中にゲートをくぐり抜ける


夏休みなだけあってさすがに人がたくさんいる空港


決められた場所にいけば黒い車が停まっていて、律儀にも運転手が外で腰を曲げる


「お待ちしとおりました朝倉様」


「いえ、わざわざありがとうございます」



外と違って幾分も心地いい冷気を放つ車内に乗り込む


「場所は…―――」


「飯塚様によりお伺いしております」


「わかりました、よろしくお願いします」


礼儀正しい爽やかな運転手は人柄の良さそうな笑みを浮かべて静かに発車させた



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