社長の溺愛



張りつめていたような空気は彼女の泣き声によって緩和されていく



「しぃ…ごめ、さい…大、好き、なのに」



「違うよ、翼は悪くないよ。ごめんな、昔のこともこの間のことも」



「きら、い…ならな…い?」



しゃくり上げながら話す翼は苦しそうにも見える


優しく背中を撫でてやれば自然と力が抜けていった



「ならないよ、俺も大好きだよ」


「ふぁ…っ…慎…大好き…大好き」


絶えることなく流され続ける涙に再び唇を落とす


あぁ、腕のなかに彼女がいるだけで至極安心しているのが分かる


もう、翼無しじゃ生きていけないんだ


今も昔も



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