社長の溺愛
南月は真夏の日差しに目を細めて近づいてくるもんだから、不良に因縁でもつけられてるようだ
金髪の彼はなんだか妙に似合っている赤チェックのエプロンのポケットに手を突っ込んでいる
「ずいぶん早いお迎えっすね、慎さん」
「当たり前だろ、翼の近くにお前がいるだけで危険なんだからな」
「え、翼が俺のとこに来たのはどっかの誰かさんのせいっすよ」
にこやかな笑顔を浮かべるやつはやはり気に入らない
「肝心の翼も泣かせるし、厄介なひとだね社長」
「すぐに連れて帰ってやるから心配するな」
ストン、と抱き上げていた翼を芝生の上に優しく下ろす
翼に近づいた南月は顔を覗きこむと微笑んで頭を撫でる
「よく我慢してたね」
「なっちゃんが…いうから…」
「そうだね」