社長の溺愛



なんのことかと不思議に思えば南月が言葉を紡ぐ


「電話してきたときから毎日泣いてたんすよ翼」



「……そうなのか?」


彼女の顔を見れば気まずそうに睫毛を伏せる


どれだけの負担を翼にかけていたかと思うと胸が締め付けられるように苦しくなる


謝っても謝りきれないことをしたんだと改めて実感する



それでも南月は続ける



「毎日泣いてるから見てらんなくて、言ったんですよ」


くしゃっと優しい笑みを見せる彼はいっこうに翼から目を離さない


「そんなに泣いてたら慎さんと一生会えないよって」



頑張ったな、とさらに付け足す南月



そんなことを言ってたのか……


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